茶処として知られる福岡・八女の奥深くに位置する星野村は年間を通じて雨が多く昼と夜の寒暖の差が激しい霧が深い山里です。 日本一星が美しいと評された清涼な気候と日本棚田百選にも選ばれた山間の土地というこのお茶づくりに適した気候風土が、日本一と評される玉露を生み出しました。
棚田は星野村を代表する景観のひとつ。いつの時代から造られ始めたのか、 その起源は定かではありませんが長い年月をかけて山の急斜面を鍬で切り開き、石を一つ一つ積み上げて造られたもので日本棚田百選の一つにも選ばれ、 星野村のいたるところで見ることができます。このような先人のたゆまぬ努力と、日本一星がきれいに見えると評された気候風土が最高のお茶を幾世代に渡って育んできました。
日本にお茶が伝わったのは今から約八百年前の鎌倉時代初期のことで、臨済宗の開祖・栄西禅師が中国の宗よりお茶の種子を持ち帰り、 背振山の霊仙寺にその種子を蒔いたのがその始まりですが、星野茶の歴史はそれに続くほど古く、 栄西禅師がその翌年に開山した千光寺の末寺であった大円寺(星野村土穴)でお茶の栽培を始めたことが星野茶の始まりと言われています。
星野茶は平地で栽培される他の八女のお茶に比べ、渋みが少なくまろやかな甘味があります。
特に日本一と評される玉露は、鮮やかな濃緑の色、味わい深い甘味と独特の芳醇な香りが特徴ですが、 伝統的な栽培方法と相余って生産量がきわめて少なく、幻の銘茶と呼ばれています。
(1)自然な形で栽培すること
(2)4~5月の一番茶生産期に20日以上、天然の稲藁で95%以上 日光を遮断すること
(3)機械を使わず、すべて人の手で摘み取り収穫すること
この技法で栽培される玉露は、愛好家の間では「伝統本玉露」と呼ばれて珍重されています。
京都・宇治と並ぶ日本有数の高級茶の産地として全国的に知られている星野村は、伝統本玉露の生産量では日本一(約45%)となっていて、そのためお茶の平均価格も日本一高価です。
また玉露は平成13~22年度の全国茶品評会で農林水産大臣賞を10年連続で受賞しています。 特に平成19年度は玉露の部の1位から26位までを独占し、他の産地を圧倒しました。